■時節のワンポイント■


-------花粉症について-------

花粉症の方には辛い季節がやってきました。今回は皆さんの花粉症対策にちょっとでもお役に立つようなお話を載せたいと思います。
花粉症対策にはまず敵を知る事が大切です。敵を知り上手に花粉症を乗り切っていきましょう。ここではスギ花粉を中心に皆さんの疑問に答える形でお話をしていきます。

1. 花粉症とは…?
花粉症は花粉が鼻や目に入ることにより、くしゃみ・鼻水・鼻つまり・目のかゆみといった症状がでるものを一般に花粉症といいます。 ウィルスや細菌の感染で引き起こされる風邪とは、症状は似ていますが、全く違う疾患です。
原因としてはスギが有名ですが、スギ意外にもヒノキやブタ草など約60種類の花粉が原因として知られています。

2. 花粉症の症状は何故おこるの?
ちょっと難しい話になりますが、スギなどの花粉が鼻の粘膜や眼の粘膜に入り込むと粘膜を通過した花粉の抗原が、粘膜に分布している肥満細胞の表面で抗原に対するIgE抗体と結合します。すると肥満細胞から、ヒスタミンやペプチドロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されます。こうした化学伝達物質が知覚神経や鼻腺、血管などに作用する事により目のかゆみ、鼻汁、くしゃみ、鼻閉といった症状を引き起こします。
人によってはのどの症状や消化器症状、全身倦怠感、喘息様の症状などを伴うこともあります。

3. 花粉症を予防するには?
2.でお話したように、花粉症はスギなどの花粉が入り込むことによって症状が出てきます。
ですから予防の基本は花粉を取り込まない事です。
そのために日頃から以下の事に注意して生活されてはいかがでしょう。

1)スギ花粉情報に注意し花粉の多い時の外出はなるべく控える
2)花粉の多い時は窓や戸を閉めて花粉の室内への侵入を防ぐ
3)外出時にはマスクやメガネを使う
4)外出時は花粉の付きやすい表面がケバケバしたコートなどは控える
5)帰宅時は衣服や髪についた花粉を払い落とし、うがいや洗顔、鼻をかむ等をする
6)こまめに部屋の掃除をして花粉を取り除く

市販されている花粉症用のマスクでも効果はかなり期待できるようです。
専門科の調査によると90%以上除去される商品もあります。

4.花粉症が増えてるって本当?
花粉症が広く知られるようになったのは1970年代後半からです。
戦後、わが国では安価な木材を産出することを目的として杉の植林が奨励されました。そうした杉が約30年を経て花粉を飛ばす樹木に成長した事が原因と考えられています。その後スギ花粉症の有病率は年々増加していますが、それには

1)スギ花粉の絶対的な増加
2)ディーゼル排気粒子や窒素酸化物などによる大気汚染
3)高タンパク・高脂質といった食生活の変化
4)腸内細菌叢の変化
5)少子化

などが起因しているとされています。
林業研究者によると今後10年間、スギ花粉症は年々微増していくと予想されています。
スギ花粉症の有病率は、極端に少ない北海道(2.9%)や沖縄(0.6%)を除くと全国平均は約16.2%というデータがあります。
年齢層では30代、40代がそれぞれ約25%と多く、高齢者や小児では少ない傾向を示します。ただ、最近では花粉症発症の低年齢化が進んでいます。

5.スギ花粉はいつ頃から飛び始めるのでしょう?
花粉の飛散量は各測定地点における1平方センチメートル当たりの花粉数を示しています。飛散開始日は1平方センチメートルあたりの花粉量が連続して1個以上になった場合の初日とされます。
スギ雌花粉は前年の11月はじめ頃までには完成し、その後休眠期に入ります。それから12月の下旬〜1月上旬頃には休眠から覚めて花粉を飛ばす準備に入ります
花粉を飛ばし始めるまでの期間は、休眠から目覚めてからの気温の累積によって決定されます。休眠後の気温が高ければ早めに、気温が低ければ遅めになります。例年東京などの関東では2月〜3月がスギの花粉飛散のピークにあたります。

6.花粉症の治療にはどんなものがあるのでしょう?
先にもお話しましたように花粉症治療の基本は花粉を寄せ付けない事
すなわち抗菌からの回避です。
よく花粉症は一度なったら治らないのですか?と聞かれますが、残念ながら花粉症が自然に治る率は2〜5%程度と考えられています。ですから、花粉を取り込まない工夫と、日頃から規則正しい食生活を心掛け、抵抗力をつける事も大切です。
病院で受ける花粉症の治療としては
1)薬物治療
2)免疫治療(特異的減感作療法)
3)手術療法

の三つに大きく分けられます。

1)薬物治療
このうちどこの医療機関でも比較的容易に受けられるのがこの薬物治療でしょう。
薬物治療には現在大きく分けて以下の方法が選択あるいは併用されます。

1.化学伝達物質遊離制御薬
鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状の原因となるヒスタミンなどの化学伝達物質が花粉と反応した肥満細胞から遊離されるのを防ぐ目的で使用されます。飲み薬と点眼や点鼻などの外用薬があります。

2.抗ヒスタミン薬
肥満細胞から遊離されたヒスタミンの作用を制御して症状を和らげるお薬です。これにも内服と外用の両者が用いられます。

3.抗ロイコトリエン薬
肥満細胞から遊離された化学伝達物質であるロイコトリエンの作用を制御し、鼻や気管支の症状を和らげる目的で用いられます。

この1.2.3.のようにアレルギー反応を抑える作用のある薬品を抗アレルギー薬と総称します

4.ステロイド
鼻炎膜の腫脹や局所の炎症を抑え、鼻閉の改善や諸症状の改善に効果があることが確かめられています。
時々、花粉症の症状を注射で治せませんか?と聞かれますが、これはこのステロイドの筋肉注射のことをさしています。
ただし、アレルギー専門科はこの方法は推奨していません。
確かに症状は一時的に楽になりますが、効果は長くて約1ヶ月ですし、副作用の心配もあるため当院では行っていません。

現在アレルギーの専門科が推奨し、効果も立証されている方法は、
花粉症の飛散が始まり、症状が始まる約一ヶ月前から予防的に抗アレルギー薬を服用することです。
但し、妊婦や幼児の方は内服より外用薬の使用が安全ですので医師とご相談のうえ治療方法を決めるのがよいでしょう。

2)免疫療法
これはスギの花粉の原因となる抗原を長期にわたって体内に人為的に入れ、症状を起こさないようにするために行われます。実際には週2回の皮下注射を約2年間続けることにより60〜70%の有効性が認められます。

3)手術療法
鼻の粘膜の一部をレーザーやアルゴンガスなどを用いて破壊するものが主流で、ある程度効果はありますが、効果を持続させるためには、毎年繰り返して行うことが必要です。


7.あなたの花粉症の重症度はいくつ?
重症度(☆多→重、少→軽)
/症状
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
くしゃみ
(1日の平均回数)
21回以上11〜20回6〜10回1〜5回
鼻汁
(鼻をかむ1日の平均回数)
21回以上11〜20回6〜10回1〜5回
鼻閉の程度1日中鼻閉が強く
口呼吸が
多い
鼻閉があり
口呼吸が
時々
口呼吸は
無い
鼻閉あり
日常の支障具合全く仕事が
出来ない
仕事が手に
付かない
☆☆☆と
☆の中間
あまり
支障ない


8.その他の花粉症対策
花粉症の症状を緩和するのに数種類の漢方薬を調合したハーブティーが効果的な場合もあります。
このハーブティーを熱湯で煎じて飲む事により、鼻詰まりや目のかゆみなどを鎮める効果があるとされています。
保険診療で処方も可能です。医療機関にお問合せ下さい。