健康診断結果の見方
皆さんがお受けになった健康診断の結果について肥満を中心にコメントをつけますので参考にしてください。
【肥満度(BMI)について】
肥満の程度を判断するのにはBMI(body mass index)(日本語では体格指数)が広く用いられます。この数字は体重(kg)を身長(m)の2乗で割ることで求められますが、日本人の場合男女ともにこの値が22に近いほど有病率が少ないことから、病気になりにくい理想的なBMI値22を基準に肥満度を判定します。
従って理想体重は身長(m)の2乗にこの22を掛けることで算定されます。
例えば身長が170cmの方の理想体重は、1.7x1.7x22=63.6kgとなります。BMI値が25以上以上になると有意に糖尿病や高血圧、高脂血症などを発症することから、25以上を肥満と判断するようになりました。
【日本の肥満人口は?】
日本におけるBMI25以上の人口は、男性で1300万、女性では1000万人と推定されています。
年齢でみると男性は30代〜40代に肥満が多く、50代以降は減っていく傾向にありますが、女性は更年期を境とした40代〜50代に肥満のピークがあります。
【肥満の功罪】
肥満は糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の温床となることが知られていますし、反対にこれらの疾患は肥満を改善することでかなり良くなります。
例えば高血圧。最近肥満の原因となる脂肪細胞から、血圧を上げる物質が出されていることもわかってきました。肥満で高血圧を合併する割合は男性の約58%、女性の約53%にもなります。
また、脂肪細胞は血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きを抑えてしまうため肥満があるとインスリンが沢山でていても血糖が下がらず、糖尿病になりやすいこともよく知られています。
最近では睡眠時無呼吸との関連や、一部の癌(食道・胃・前立腺・乳・子宮・卵巣など)でBMI値の増加に伴い死亡率も増加することが確かめられています。
健康診断で何もひっかからないからと放っておくと、何年後かにかなりの確立でやれ血圧が高いだのコレステロールが高いだの、痛風だの糖尿病だのといった現象が顔をだしてきます。今大丈夫な人も何年後かのために日頃から肥満を改善するよう心がけてください。
【減量の目標は標準体重?】
高血圧や糖尿病などの治療には必ずしも標準体重まで減量をする必要はないとされています。実際にはその人の現在の体重の5%を3〜6ヶ月くらいかけて落とすことで、かなり効果が認められます。例えば90kgの人でも1ヶ月に1kg減量するだけで治療効果はてきめんなのです。
【1日に必要な適正摂取カロリーの目安は?】
皆さんのようなデスクワークの場合、適切な摂取カロリーは標準体重に25〜30カロリーをかけた値になります。例えば標準体重が60kgの場合は約1800カロリーとなります。肉体労働の場合は約35カロリーをかけた値となります。
【1kgの減らし方】
脂肪組織1kgは約7000kcalです。ですから一ヶ月に7000kcal、1日約230カロリー分だけ消費エネルギーより摂取エネルギーを減らせば1ヶ月1kgの減量は可能なのです。1日にご飯1杯半くらいを毎日減らせば余裕で達成できます。それに運動などを加えて消費エネルギーを増やせばさらに減量は進みます。
今回は肥満以外の項目については簡単に触れるだけにさせていただきます。
コレステロール
血液中のコレステロールは動脈硬化の原因となることが知られています。
コレステロールが高いと心筋梗塞や脳卒中になりやすいため高い場合は食生活の改善を含めた治療が必要となります。正常値は男女とも220mg/dl以下で、250以上の場合は治療をお勧めします。
中性脂肪
アルコールや脂肪、カロリーの取りすぎなどで血液中に増えてくる脂肪です。
一般的に女性より男性のほうが高い値をとりやすく、動脈硬化や心疾患、膵炎などの危険因子とされています。高い場合はアルコールや食事を見直す必要があります。
正常値は男女とも150mg/dl以下ですが、300〜400以上が続く場合は治療をお勧めします。
尿酸
尿酸値が高いと痛風の原因となります。
私はまだ経験が無いのですが、痛風の発作は読んで字のごとく、風が吹いても痛いのだそうです。
正常値は男女とも7以下ですが、ホルモンの関係から女性では尿酸値はあがりにくく、皆さんの結果でも尿酸が正常値を超えているのは男性が殆どです。
尿酸を上げる要因としては肥満や食生活が大きなウエイトを占めていますが、アルコール、特にプリン体(体内で尿酸を生成する)を多く含むビールは痛風によくありません。尿酸値8以上の状態が続く場合は痛風を防ぐためにも治療をお勧めします。
アルコールの種類別プリン体含有量 mg/100ml
ビール 4.35〜6.86
地ビール 6.78〜16.64
発泡酒 2.83〜3.82
日本酒 1.21
ワイン 0.39
ブランデー 0.12
焼酎 0.03
プリン体の比較では地ビールがかなり多く、焼酎が少ないことがわかりますが、アルコール自体に尿酸の排泄を阻害し尿酸値を上げる作用があるので、お酒は種類を問わずほどほどがよろしいようです。適正なアルコール量は1日20〜30g(日本酒1合、ビール500ml、ワイン2杯程度)とされています。
γGTP
GOT、GPTと共に肝機能の目安となります。正常値は男女ともおおむね40以下です。脂肪肝ではこの値が100〜300IU/l程度まで上昇しますが、アルコール性肝炎の場合は500前後あるいはそれ以上になります。
アルコール性の場合は禁酒後2週間で数値は1/2程度までさがります、禁酒によっても数値が下がらない場合はそれ以外の原因があるので注意が必要です。
目安としては、γGTPが100以上の場合はアルコールを含めた食生活の改善が必要です。
血圧
正常値は男女とも120/80以下です。
140/90以上は治療の対象となります、特に160/100以上は要注意です。
過重な労働や深夜勤務、ストレスなどは血圧の上昇を来たす一因となります。
肥満が血圧をあげることは肥満の項で説明しましたが、減量や塩分制限・運動・十分な休養などは血圧を下げる効果が確かめられています。
自殺以外の過労死の原因は殆ど血圧が関連しています。過労死から身を守るには過重な労働時間を減らすことももちろん大切ですが、必要な場合にはきちんと治療を受けることが最優先です。
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